大学卒業後に就職せず、こう考えている人は多いのではないでしょうか。
わたしはアラフォーのシングルマザーですが、フリーランスとして通算11年・IT業界での経験でいうと十数年の経験があります。
今となってはよい思い出ですが、わたしも、
こんなふうに格好をつけ、新卒という切り札を捨てたひとりです。
新卒を捨て、意気揚々とフリーターをはじめたあとの、大学卒業後の数年間のわたしの暮らしは、まさに底辺そのものでした。
焦って面接に行った派遣会社では「社会経験がないし、パソコンも使えないなんて、仕事なんてないよ」とも言われました。
まわりの友人が結婚したり、家を買うなどの話を聞いたり、年収やボーナスの額を聞くたび、死にたくなったのを覚えています。
そんなわたしは自分を変えるため、20代半ばにして、突如Webデザイナーを目指しはじめました。
Webデザイナーとしての就労期間は計2年弱、Webデザイナーとして2社勤めた後にフリーランスとして独立したわたしは、それから十数年間、仕事や就職先に困ることなく、なんとかIT業界で仕事を続けられています。
そんなわたしが「新卒フリーランスはおすすめできない理由」について所見を語ってみようと思います。
目次
新卒フリーランスだけはやめとけ
「自分は才能があるし、会社で小さくまとまる人間じゃないって思ってない?」
「満員電車に乗ったり、毎日決まった時間に働くのが嫌なだけじゃない?」
「やりたいことしか、やりたくないんじゃない?」
この質問全てに胸をはって「No!」といえる人は、新卒フリーランスになってください。
でも、少しでも「ドキッ」とした人、新卒フリーランスとして突っ走るのは、ちょっと待って考えなおしてみましょう。
新卒フリーランスが失敗する理由
フリーランスとして生計をたてるとき、重要なことって何だと思いますか?
- 自分の価値やスキルを高く売ること
- 定期的に仕事を得ること
フリーランスの仕事は、本当に安定しません。
例えば、今月100万円稼いだって、向こう3ヶ月の仕事がなければ、月収はたったの25万円です。
若ければいいですけど、わたしのようなシングルマザーだったり、家族を養っている人にはかなりキツイ額ですし、第一めちゃくちゃ不安ですよね。
フリーランスなら、保険などはすべて自分持ちですから…。
少しでも高い報酬を得て、定期的に仕事を受注し続けることが、フリーランスを長く続けられる秘訣です。
それではちょっと質問を変えますね。
新卒フリーランスに仕事を発注する人って、何を考えていると思いますか?
答えは「安く仕事をしてくれるから」なのです。
新卒フリーランス=安く仕事してくれる人
新卒フリーランスは「安い仕事」しか受けられません。
なぜなら、
- 実績がない
- 狭い知見しかない
- 相場感を知らない
これ、クライアントに足元をみられるんですよ。
会社員生活を早々に切り上げて念願のフリーランスWebデザイナーとして独立した当初、わたしは、とあるHP制作の仕事を受注しました。
- 実績がどうしても欲しかった
- 自分に自信がなかった
わたしはこのような理由で、かなり足元をみられた報酬額で受注しました。
20ページくらいのウェブサイトの制作、デザインもコーディングもすべて含めて、5万円くらいだったと思います。
「だめだめ、こんなの全然イケてない。やり直し」
うろ覚えですが、サイト完成まで4-5ヶ月はかかりました。手が遅かったので、寝る間も惜しんでやりました。
そしてやっと納品となった頃、最終的に言われたのが次の一言です。
「こんなド素人がつくったようなサイトにお金なんて払えるわけないでしょ」
こうして、フリーランスとしての初報酬はついに払ってもらえませんでした。
- 実績がないため、足元をみられた値段で受注してしまったこと。
- 修正回数も決めないまま進めてしまい、自信がないので相手の言いなりに動き、すべての修正を無料で対応していたこと。
- 契約書を巻いておらず、支払いを請求できなかったこと。
これ、全部「実績がない」「狭い知見しかない」「相場感を知らない」に当てはまりますよね。
新卒フリーランスになるとこういう経験を必ずする、とは言いません。
ですが、社会経験や業界での就労経験を積んだ人に比べると、「業界の常識に対して無知」なのは、圧倒的に損するリスクが高いのはわかると思います。
社畜(?)のメリット
わたしは自分が「早くフリーランスになりたい!」と思っていたこともあり、新卒フリーランスを目指している人の心境がすごく理解できます。
朝早く起きるの苦手だし、満員電車に毎日乗るなんてうんざりですよね。
だからこそ、11年もフリーランスをやっているっていうのもあります。
それでも数年間(最初の就職と次の就職期間は2年弱でした)社畜をしてみることには、たくさんのメリットがあるんです。
- 実績ができる
- 人脈ができる
- 業務フローや相場感がわかる
- 契約・経理まわりの知識がつく
1つずつ解説します。
実績ができる
組織で働くと、個人では到底参加できないようなプロジェクトに加わることができます。
フリーランスと言ってしまえば、今日からあなたはフリーランスになれますが、誰があなたにお金を払いたいですか?
クライアントは、受注者の実績を必ず確認します。
もしあなたに何も実績がないなら、前述した通り「足元をみられて」安い報酬の仕事や、短納期などの悪い条件の仕事しかもらえないのです。
人脈ができる
わたしがアラフォーのシングルマザーでも、11年職を失わずにフリーランスとして働き続けられている理由は、業界に人脈があるからです。
ついでに言うと、これまで3度の転職をしていますが、一度も就職に困ったこともありません。
個人規模の小さな案件ではなく、組織で扱うのは大きな案件です。
つまり、多くのプロジェクトメンバーと一緒に仕事をすることになります。
多くの人の仕事の進め方やトラブル対処の知恵など、新卒の方には「学ぶことしかない」です。
また、その場で認めてもらえる存在になれば、転職にも困らないですし、フリーランスとして独立したときにもたくさんの人が声をかけてくれるでしょう。
業務フローや相場感がわかる
現場の進め方を知っていれば、フリーランスとして独立したときにもスムーズに仕事を進められますよね。
また、相場感とあなたの実力に基づいて、的確な報酬額の提案もできるようになるでしょう。
契約・経理まわりの知識がつく
フリーランスは、仕事を納めるだけでなく、営業・経理まですべてやらなくてはなりません。
クライアントと仕事を始めるには、まず、お見積り。
そして、業務委託契約の締結などの契約関連。
案件受注が決まったら、発注書・納品書・検収書・請求書…
これらを「お給料をもらいながら学べる」のですから、社畜も捨てたものではないですよね?
スキルなしで就職できるのは、新卒・第二新卒まで
ここまで読んで、
「それでも新卒フリーランスになりたい!」
こんな方もいるかもしれません。
わたしも「やりたいことしかやらない」と意気揚々と新卒を捨てた身なので、ものすごく気持ちはわかります。
ですが、新卒を捨て、3社で社畜をし、フリーランスを11年しているからこそ、言えることがあります。
新卒フリーランスでも生きてはいける
新卒フリーランスでも「とりあえず生きていく分」くらいなら、普通に稼げます。
今の時代は特に、クラウドワークスなどのクラウドソーシングも豊富で、在宅の仕事をみつけやすいですよね。
特にスキルを持っていなくても、Web上に公開される記事を書く「Webライター」の仕事でもできますし、少しイラストが出来る人などは、デザインの仕事をみつけるのもいいですね。
ですが、月に10万円や20万円稼いだところで、その仕事に伸び代ってありますか?
バイトと何が違うのでしょうか。
新卒・第二新卒しか、好条件の仕事はない
新卒や第二新卒、そして20代の方であれば、まだまだ条件のよい就職支援を利用できます。
30代になってから就職未経験の状態で、IT業界で働くのは、コネや人脈、よほどの実績がなければ難しいでしょう。
未経験の新卒なら
例えば、IT業界・ゲーム業界に強い転職エージェントのワークポートなら、未経験者向けの仕事が豊富です。
大手有名企業の求人を多く取り扱っているので、まさに「やりたいこと」ができる仕事をみつけることができるでしょう。
第二新卒におすすめ
無料のプログラミング学習+就職サポートをしてくれる転職エージェントもあります。
ギークジョブや、プログラマーカレッジなど。
プログラミング学習を無料で受けられる上、就職支援もしてくれる至れり尽くせりのサービスです。
転職エージェントは、転職を成功させた時点で、紹介先の企業から「コミッションとして、採用者の年収の○%」をもらっています。
つまり、無料でプログラミング学習を教えるコストをかけてでも、企業に紹介料をもらうほうが儲かる、ということですね。笑
転職エージェントは就職希望者に是が非でも就職してもらいたいので、無料学習も就職サポートも怪しいものではありません。
会社が嫌ならすぐ辞めていい
会社が嫌ならすぐに辞めて大丈夫です。
わたしも、初就職先と2度目の転職先2つの就業期間をあわせても、2年くらいしかもっていません。
IT業界は転職率が高いので、1年くらいで辞めても、突っ込まれることはありませんよ。
それよりも勿体ないのは、新卒や第二新卒ならスキルも経験もなくても、有名企業で大きなプロジェクトに参加できる経験値を積めるチャンスを逃すこと。
逆に言うと、フリーランスのWebライターなどの仕事は、いつでもできるんです。
結婚して子供が産まれてからやってみても、遅くはないですよね。
今、発注する側になって思うのは「わたしなら新卒フリーランスに重要な仕事は発注しない」ということです。
実際、少し相場より高いですが、ツーカーで意思疎通できて確実に思い通りに仕上げてくれる人に依頼することが多いです。
この意味がわかれば、新卒でフリーランスになる意味はあまりない、と思いませんか?
どうしても今すぐフリーランスになりたい人へ
それでもどうしても今すぐフリーランスになりたい人は、フリーランスとしての知識を学べるスクールに通うのがおすすめです。
初期投資として学費は必要ですが、プログラミングやWebデザインのスキル・ライティングスキルなどの仕事を勝ち取るスキルを学べるだけでなく、フリーランスに必要な経理や事務の知識・仕事の獲得方法まで学べる学校です。
見様見真似でフリーランスになることは簡単ですが、やはり、業界の相場観や仕事獲得のコツなどを知らなければ大きくは稼ぐことはできませんよ。